その家には数々の人が住み、巣立っていった。そして今、空き家となった。
もう、建てられてから半世紀。いわゆる『古民家』というものではなく、ごくありふれた一軒家である。空き家になって数年、それでもこの家を巣立った人たちが見守ってきた。おそらく、世の中にはそんな「空き家」が数多く存在するかと思う。
日本には800万戸以上の空き家があり、その中でも山梨は空き家率が15パーセントを上回る状況だという。辺りを見回しても、住む人がいなく、そのまま残されている家はやはり多い。どうにかしたくてもなかなか手付かずというのが、本音だろう。この家もまさに同じ状態に置かれていた。住む人がいなくなった家は、それでも固定資産税など維持費用はかかる。いつか何かに使う、親族の誰かが住むとか、そのために空間が活用されていない。
その意志を継ぐ
そのような中、この家に昔住んでいた一人で、この文を書かせて頂いている私の父が、大工として時間があれば、少しずつ改修していました。その作業範囲は、長年やってきた大工作業だけでなく、板金など屋根工事なども独学で学び行っていました。床も貼り終え、外回りを直している、そんな最中に突然倒れ、帰らぬ人になりました。
私は、この改修について、話だけは帰省したときなどに聞いてはいましたが特に関わることはありませんでした。そして、父の死後、この現場に来たとき、作業途中の道具やこれから使おうとしていたと思われる材料から、まだやるべきことか出来なかった父を想像しました。そして、その意志を継ごうと考え、プロジェクトを発足させて、少しずつ計画やセルフリフォームを進めておりました。それから三年の日が過ぎようとしています。
ある人は言う。
『建物は使う人が居て生きるもの』
確かに、どんなに古い建物でも使う人がいる建物は、いきいきとしている。そんな中で世の中では、民泊が始まり、まずはこの仕組みを活用させてもらいつつ、空いた時間は、地域の人達が使えるシェアスペースとして、もっと地域に活用される『場』になればと願う。
空き家を活用する方法
空き家には、色々な理由があってそうなっているものも多いと思います。その中でも一番多いのは、どう使っていいのか分からないというものだろう。
「戸建て=住居」
というカタチが一般的であったが、これからはそうではない。いかにして新しいカタチとしてその「空間」を利用できるかが問われる時代になってきていると思います。
oak632は、こんな処にします
戸建て(2階建て)の空間をこんな方法で活用します。
まず1階は、日中はリビングを中心に利用できる空間として、夜は1組限定での民泊として利用できるようにします。
2階は、電動工具を活用した木工などで利用できる工房としていきたいと考えてます。(2019秋オープン予定)